案件発注に至る背景と案件詳細
近畿地方にあるT病院の周辺地域では、高齢化と新型ウイルスの感染拡大に伴い、救急医療現場の逼迫が余儀なくされていました。
救急医療は消防本部・救急隊・医療機関が急患の患者を取り次ぐ形で行われ、患者の病状や道路の混雑状況、ベッドの空き状況から適切な搬送先を迅速に導き出すことが重要になります。先の要因により医療現場を取り巻く環境が悪化していく中で、救急医療体制は改善と向上が急務となっていました。
しかしながら、消防本部・救急隊・医療機関はそれぞれが別機関であるため、各機関の連携がうまく取れずに一気通貫での体制改善を行うことが困難でした。そのため、第三者機関が作成する管制システムを導入することで、包括的で客観的な体制の改善を見込むこととなりました。
WithConsulにはT病院から、当該管制システム作成のプロジェクトマネジメントおよび、消防本部・救急隊・医療機関への導入支援、そして導入後一定期間においてシステムの品質向上を行えるコンサルタントのアサインを期待されていました。
コンサルタントおよびWithConsulの成果
WithConsulからは、医療領域に知見がありクライアントの提示した条件を満たすITコンサルタントE氏をアサインしました。
コンサルタントE氏はまず現場に赴き、各機関から当直体制・重症度判別ルールといった基礎的な情報を聞き出しました。そして、伝え聞いていた事情からの予想通り、それらの体制や判断基準が三者三様であることを整理して可視化します。
その後はエンジニアチームと連携を取り、統一した規則を策定し、管制システムへとインプットを行います。また、重症度の高い急患が専門外の医療機関に搬送されてしまうといった、致命的なエラーから順番に誤謬をなくすアプローチを行いました。
当直体制を始めとする、現場に携わる人間のワークスタイルが既存の状態から変わりうる体制の刷新は、第三者が現場とのコミュニケーションを取りながら行うことで特定の組織に反感が向かず、組織間連携の悪化を防ぐことができます。そうした意味合いで、利害関係のない中立的なコンサルタントの動員を外部に依頼することは非常に有意義なものとなります。
コンサルタントE氏およびエンジニアチームは、当該システムをブラッシュアップし、搬送先のリストやベッドの空き状況、交通機関の混雑具合などをリアルタイムで管理するシステムを構築し、各機関への導入支援を行いました。E氏は現在も医療現場の意思決定の迅速化やヒューマンエラーの回避などを中心に経過観察を行いながら、システムのパフォーマンス向上に努めています。