多忙なコンサルタントにとって、年末年始が貴重な休みとなる人も多いのではないでしょうか。しかしながら、いきなり数日間の空きができると逆に何をすればいいか分からなくなってしまう方も一定数いるはずです。
そこで今回は、フリーランスの戦略コンサルタント歴5年を迎えるF氏に、年末年始に何をおこなって来たかを伺いました。F氏は大手コンサルティングファームにてデジタル広告を用いたプロモーション戦略の立案とデジタル広告の運用、クライアントへのレポーティングといったマーケティング業務を担当していました。フリーランスとして独立後は、日本企業が海外へ進出するための海外マーケティングや、グローバル企業が日本へ進出するための戦略立案を主に担当しています。
フリーランスとして活躍するF氏の体験をベースとして、腰を落ち着けて1年を振り返り次の1年を考える機会となる年末年始にコンサルタントが行っておきたい事柄をご紹介しますので、ぜひご参考にしてください。
コンサルタントにオススメの年末年始の過ごし方 リフレッシュ編
読みかけや気になっている本の消化
元々読書家だったF氏は、戦略コンサルタントとして業務が忙しくなってくるとともに、読みかけや買ったばかりの本が「積み本」になっていきました。睡眠時間は通常時の平日に5時間、プロジェクトの中間報告や最終報告などの山場の時期には3~4時間程度しか取れなかったため、通勤のタイミングで本を読むことすらままならなかったとのことです。
グローバルなアドテクノロジー領域は多言語対応のもと長時間のデスクワークで広告運用や効果検証や資料作成を行うため、F氏は疲れ目になり、本を読む前に目の体力切れになってしまっていたそうです。仕事がひと段落する年末年始にのんびりと積み本を消化する時間は、F氏にとって至福の時だったとのことです。未消化の本が積み重なっているコンサルタントの方は、年末年始の時間を有効活用してみてはいかがでしょうか。
ちなみにF氏は、朝の散歩がてら近くの公園まで歩き、そのベンチで本を読んでいたようです。「寒くはなかったのですか」と聞いたところ、冷たい空気に触れることで頭が冴え、雑音がほとんどない環境でこそ読書が捗るとのこと。グローバルに活躍する戦略コンサルタントとして、ある種のストイックな一面が垣間見えました。この記事を読まれている方も、体調管理にはくれぐれも気をつけつつ、普段とは違う環境で本を読んでみることもオススメです。
コンサルタント仲間との忘年会・新年会
独立前、アメリカ・イギリス・ドイツ辺りの国で仕事をすることを視野に入れていたF氏は、旧友との飲み会を通して海外で働くことに関する情報収集を行っていました。仕事に関することだけでなく、たとえば社宅が高層マンションの一室で屋上階にはプールがあって、といった話を聞くことで海外勤務へのモチベーションにしていたそうです。
この記事を読んでいる方の中には、クライアントとの飲み会では気を遣ってしまう人もいるかもしれませんが、コンサルタント仲間となら自然体になれるのではないでしょうか。時には愚痴や悩みを語ったり聞いたりすることで胸が軽くなることもありますし、一年を振り返ったり来年の抱負を語ったりすることで次の一年に向けやる気を高めることもできます。
遠方の場合や新型ウイルスが気になる場合はWeb飲みもひとつの手です。F氏は昨年、緊急事態宣言により飲み会を外で行えなかったため、Web通話のツールを用いて忘年会を行いました。日系のコンサルティングファームに所属し、海外出向のためアメリカのロングアイランド島(ニューヨークの東部に位置する、富裕層向けの住宅街とリゾート施設が存在する同国最大の島)の社宅に住んでいるF氏の友人が、Web通話を用いて屋内や住居周辺のようすを映してくれたときは、「こいつには負けまい」と改めて仕事へのモチベーションが高まったそうです。
Webブラウザでできる簡単なボードゲームなどもあるので、Web通話を通して楽しむのも良いと思います。WithConsul編集部が頭脳明晰なコンサルタントの方々にオススメしたいゲームは『コードネーム』です。
『コードネーム』では赤と青のチームに分かれ、自身のチームの色と同じ色のカードを先にすべて開けたチームが勝ちとなる協力型対戦ゲームです。チームは「諜報員」と「スパイマスター」に分かれ、諜報員にはすべてのカードの色が伏せられ、スパイマスターにはすべてのカードの色が分かっている状態からゲームがスタートします。
スパイマスターは諜報員に向けて、自身のチームの色と同じ色のカードをめくるようにヒントとなる単語と数字を提示します。たとえば上の画像で青チームの場合、「ハイキング 2」とヒントを出すことで「リュックサック」と「ハチ」を開けるよう指示を出すことができます。シンプルでありながら、仲のいい人同士だからこそ出せるヒントがあったりと盛り上がり要素もあるため、頭脳戦が好きな方にはイチオシのゲームです。
家族サービス
年末年始のリフレッシュにオススメの過ごし方の3つ目は家族サービスです。小学生の子供を2人持つF氏は、普段から忙しさにかまけて子供たちと遊べていないことに若干の物足りなさを感じていました。特に平日のクリスマスが続いたここ数年は、クリスマスやイヴも子供と一緒にゆっくり過ごすことができず(23時に息を切らしながら帰ったところ、妻を含む3人とも寝ていたこともあったとのこと)、父離れが起きてしまうのではないかという心配もあったようです。
特にF氏の仕事である海外マーケティング業務は、サービスと顧客との接点や顧客体験を可視化するカスタマーストラテジー領域において、現地に1ヶ月間出張することも珍しくありません。そうした業務からF氏は家を空けがちであったこともあり、年末年始には必ず子供と一緒に過ごす時間を設け、近所の神社へと初詣を行うそうです。
家庭のあるコンサルタントにとって仕事と家庭の両立はなかなか難易度が高いもので、この記事を読んでいる方の中にも平時の家族サービスがおろそかになってしまう人もいるのではないかと思います。クリスマスや大晦日、お正月などイベントが続く年末年始の時期には、奮って家族サービスをしたいところですね。
コンサルタントにオススメの年末年始の過ごし方 次の1年に向けて編
キャリア形成の再検討
リフレッシュを終えたところで、一年間の仕事の成果と今までの経験を振り返りながら、これからのキャリアについて改めて考えてみる時間を設けることをオススメします。
F氏はコンサルティングファームから独立する5年前、三が日でじっくりと独立かコンサルティングファーム所属を継続するかを検討したそうです。F氏がフリーランスの道を選択した大きな決め手は、グローバル領域での戦略コンサルタントとなった場合、当時所属していたコンサルティングファームでは激務が予測されたことと、担当する地域に自身の望む場所がほとんど無かったことの2点でした。
5年前、F氏のお子さんは2歳と4歳。幼い子供を2人抱えた中で国内に妻を残し、海外にて激務に翻弄されることはF氏としては耐え難く、しかしフリーランス化することは収入面での安定を欠くリスクもあり、一方で日本企業の海外マーケティング分野での戦略コンサルタントに挑戦もしたく……という、アンビバレントな気持ちで揺れ動いていたF氏。最後の最後、独立のために背中を押してくれたのは、家族で初詣をおこなったときに引いたおみくじの「一家の隆昌繁栄は時運に乗って疑いなし」だったそうです。
人生の岐路に立っている方はもちろん、そうでない方もコンサルタント仲間や家族と過ごすことで、「ヤツの年収は超えよう」「〇〇歳までには結婚できるように貯金しよう」「子供に習い事をさせるにはここまで収入を上げよう」など、将来を視野に入れることでモチベーションが上がることもあるのではないでしょうか。同じ領域のコンサルタントがどのようなキャリアを描くのか、インターネットや書籍で情報収集をするのも良いと思います。
挑戦したい領域の勉強
5年前、フリーランス化とグローバル領域のマーケティング業務を行うことを定めたF氏は、ビジネスレベルの英語会話ができるよう英語の勉強を本格的にスタートしました。当該領域で活躍するF氏は、現在はFacebookやAmazonなど世界的なプラットフォームを中心に、アリババやテンセントといった中国のオンラインプラットフォームに関する顧客接点や各国における規制動向などを、空いた時間でキャッチアップしているそうです。
新たな分野についての情報収集やスキルの取得にはまとまった時間が必要で、新たな一年ということもあり、この記事を読んでいる方も新たな挑戦をするタイミングとしてうってつけだと思います。キャリアを検討し必要な知識や能力が明確になった際には、その分野の書籍や雑誌を読んだり今までのアウトプットを見返したりと、インプットにフォーカスを当ててみるとよいでしょう。
当該領域に着手している同僚や先輩コンサルタントがいるのであれば、年末年始はタイミングも合わせやすいと思いますので、時間を取って会ってみるのも手です。フリーランス化が視野に入っている人は、独立をしている人に話を聞いたり、キャリア相談を行うのも選択肢です。未来への踏ん切りを付けて除夜の鐘を聴き新年を迎えるのも、また乙な過ごし方なのではと思います。
まとめ
今回の記事では、コンサルタントにオススメしたい年末年始の過ごし方について、F氏の経験をもとに以下のことをご紹介しました。
- 睡眠不足や疲れ目により積み本になっている書籍を消化する
- オンライン通話を含む飲み会や忘年会でリフレッシュする
- 多忙な時期はおろそかになりがちな家族サービスをのんびりと行う
- 収入面や家庭に向き合い、これからのキャリア形成の再検討を行う
- 今後のキャリアを視野に、新たに挑戦したい分野の勉強や情報収集を行う
1年ごとに目標を作って達成を目指すということを繰り返すうちに、5年~10年ほど経って振り返ってみると大きな差がつくと思います。ぜひ今年から実践してみてください。
当サイトWithConsulでは、コンサルティングファーム所属のコンサルタントの独立のご相談も承っております。年末年始は休業となりますが、年内は28日まで、年始は4日から通常業務となります。どうぞお気軽にご相談ください。