フリーランスとして活動を開始する方は、屋号を決めておくとさまざまなメリットがあります。

案件を獲得するべく法人相手に営業をおこなう際に名刺を渡したり、ホームページを作り自己ブランドを高めたりするにあたって、自身の名前とセットになる屋号は、相手に自分を売り込み覚えてもらうために非常に有用です。

法律的には必須ではありませんが、WithConsul編集部としてはフリーランスの方は屋号をつけておくことをオススメします。さて、ではその屋号はどのようなものを付けるのがよいのでしょうか。

この記事では屋号があることのメリットを確認したうえで、屋号決めに役立つフレーズや考え方を記載します。フリーランスとして独立を検討している方や、すでに独立をしているもののまだ屋号を決めていない方は、ぜひご参考にしてください。

フリーランスのコンサルタントに屋号があることのメリット

自分のことを覚えてもらいやすくなる

先述のとおり、屋号は名刺やホームページを見た人に自分のことを覚えてもらうために役立ちます。屋号がなく名前のみの名刺やホームページを見た人には、そもそもコンサルタントとして独立していることを認識してもらえない(コンサルティングファーム所属であると思われる)可能性があります。

屋号がクライアントとの成約に活かされた例を1つご紹介します。コンサルタントのK氏は独立して間もない頃、案件を獲得するための営業に不慣れで面談の際にとても緊張していました。ある日、クライアント候補となる企業T社との面談の際、自身の屋号について先方から「面白い屋号ですね」と言われ、話が広がりました。

K氏は屋号に、忍者に関するフレーズを付けていました。K氏いわく、「小学校高学年のときの社会科学習で、僕が夢中で遊んでいた近所の公園が、僕の知らないところでいろんな大人によって整備や保全をされていることを知りました。子供の知らないところで陰ながら子供が遊ぶ環境を整えるように、お客さんに認知されなくても陰ながら役に立つ、そんな縁の下の力持ちのような、忍者のようなコンサルタントという職業に憧れるようになったんです」とのことです。

T社はソーシャルゲームを中心にアプリ開発を行うデベロッパーでした。デベロッパーはメーカーからアプリケーションの開発を委託され、自社の名前がユーザーに中々認知されない中で製品を世にリリースするような縁の下の力持ちの役割をもちます。K氏の屋号に関するエピソードがT社代表の耳に入り、とても好印象で覚えてもらっていたことは、K氏がT社の案件にアサインされるようになって初めての飲み会で告げられたそうです。

社会的な信用度を高められる

屋号は印象に残るだけでなく、社会的な信用度を増すことにも役立ちます。

フリーランスでも事業用の銀行口座を作ることができ、私用の口座と分けられた銀行口座があることで、業務委託料を振り込むクライアントからの信頼度が高まります。また、フリーランスは年度ごとに確定申告が必要となりますが、収入の管理が楽になるため書類の作成にかかる時間や労力を軽減することができます。

また、クライアントへの営業や業務上でのやり取りをおこなう際、メールの署名部分(本文の下部に記載する自身の情報)に屋号が記載されていると見栄えがよく、やはり信頼度を高めることができます。

特に求人情報を記載していない企業のホームページの問い合わせ用のフォームから連絡をおこなう際は、「お名前」以外にも「社名・屋号」が必須項目として求められることがあります。「屋号がないから諦めよう」と思ったり、そのタイミングで慌てて決めることがないよう、先んじて屋号を決めておくとよいでしょう。

また、事業用の銀行口座の作成には書類の郵送を含め2週間前後の時間がかかるため、こちらも前もって作成しておくことをオススメします。

法人化の際に実績を活かせる

収入面や事業の組織化により、フリーランスから法人化をおこなう方もいると思います。その際に屋号があれば、屋号を社名に使うことで名前を新たに考える必要がなくなります。また、フリーランスの頃から屋号を決めておけば、フリーランス時代に積み上げた実績やブランド価値をそのまま活かすことができます。

また、法人化してから会社名を変更するには、法務局にて商号変更の登記を申請する必要がありとても手間が掛かります。一方フリーランスの屋号は変更に申請が必要なく、確定申告の際に名前を変更するだけで済みます(もちろん、名刺やメールの署名欄などの変更はお忘れなく)。

法人化していきなり変更が難しい社名を考えるのではなく、柔軟に変更がしやすいフリーランスのタイミングで屋号を考えておくことを推奨します。

フリーランスのコンサルタントが付けるとよい屋号

ここではフリーランスのコンサルタントにオススメの屋号をご紹介します。先ほどのK氏の例のように個性的な屋号をつけることも推奨ですが、どうしても名前が思い浮かばないという方はご参照ください。また、印象的な屋号・社名の具体例は次項に記載しておりますので、そちらも参考にしてみるとよいと思います。

「〇〇コンサルティング」

順番としては前後しますが、まずは後半のフレーズから考えてみましょう。事業内容がひと目で分かる屋号は、あなたが何者なのかという肩書をひと目で伝えられるため理想的です。

コンサルティングに限らず、コーチングや士業といった別の業種にも仕事の幅を広げたい場合は、より広いカテゴリでのワードを用いるほうがベターです。たとえば「アドバイザー」や「アドバイザリー」というワードは「助言」のニュアンスが強くなり、「コンサルティング」というワードよりも広い業種に用いることができます。

専門領域や得意分野の示唆

「〇〇コンサルティング」や「〇〇アドバイザリー」のような後半のフレーズが決まったら、続いて前半のフレーズを考えていきましょう。

たとえばIT領域や先端テクノロジーを強みとするのであれば「TEC」、外国語が堪能で多言語展開が可能であれば「Global」など、屋号から専門分野や経歴が伝わると印象に残りやすくて効果的です。また、屋号から経歴書、携わる業務内容までが首尾一貫していると信頼度が向上します。

上記2つをまとめると、「得意分野+肩書」で自分がどんなフリーランスなのかを示す屋号を作ることができます。王道に外れなしとお考えの方は、ぜひこの形で屋号を作成してみてください。

「こうありたい」という指針

ただ得意分野や肩書を名乗るだけでは物足りないという方は、先ほどのK氏のように「こうありたい」という指針や信条を盛り込むとよいでしょう。

屋号が自分の理想とするキャリアやビジネスマンとしてのスタイルを示していると、志が高く仕事にひたむきな印象を与えることができます。たとえば常にプロ意識を持って仕事に当たるのであれば「プロフェッショナル」、創造性を発揮したいのであれば「クリエイト」といった文言が効果的です。

また、屋号とは異なりますが、フリーランスのコンサルタントと企業をマッチングしている当サイト「WithConsul」は、「コンサルティングというお仕事の傍らにありたい」という指針からこの名前が付けられています。

屋号・社名決めに役立つ先行例

ここでは印象的な屋号や社名の例を記載します。屋号決めの着想を得ることにご活用ください。

アクセンチュア(Accenture PLC)

世界最大規模のコンサルティングファームのアクセンチュアは、「未来を協調する」(Accent on the Future)という造語が社名となっています。また、“Accelerate”、 “Amplify”、“Exceed Expectation”(期待を超える)という意味合いも含まれています。

2つ以上の英単語を組み合わせることで、独自性の高いフレーズを屋号・社名につけることができます。似たような例では、「運を天に任せる」を由来とする任天堂株式会社が挙げられます。

株式会社Sherpa consulting Parties

コンサルティング会社のSherpa consulting Partiesは、シェルパという特徴的なワードを社名に含んでいます。シェルパとは、エベレストをはじめとするヒマラヤの山々の登頂をサポートする案内人を指します。大きなプロジェクトの成功を達成するために、リーダーの右腕として必要な役割を果たすという意味合いがコンサルタントの役回りと非常にマッチしています。

このように、自身の事業とは異なる領域で活躍する人々やエピソードから名前を用いることで、指針や信条を効果的に表現することができます。

似たような例では、高級チョコレートブランドの「ゴディバ(Godiva Chocolatier)」が挙げられます。ゴディバはレディ・ゴディバという11世紀の英国の伯爵夫人が由来となっており、「重税を課そうとする夫の圧政を諌めるべく街を裸で行進した」というエピソードから、誇り高い女性の象徴として名付けられています。

株式会社ブリヂストン

1931年に石橋正二郎氏によって創設されたタイヤメーカーのブリヂストンは、創設者名である石(ストーン)と橋(ブリッジ)から名付けられています。ストーンブリッジではなく順番が入れ替わっている理由としては、語呂の良さと当時の有名なタイヤブランドであるファイアストンのようになりたいという思いがあったようです。

このように、自身の名前からもじることで遊び心もあり愛着が生まれる社名となります。海外のコンサルティング会社の多くは創設者や企業の中核となる人物の名前が付けられています。

まとめ

今回の記事では、フリーランスの活動に役立つ屋号のメリットやその付け方について、以下のことをご紹介しました。

  • フリーランスの屋号は覚えてもらう、信頼を高める、法人化に活かせるといったメリットがある
  • 屋号は「専門領域+肩書」をベースに、指針や信条を盛り込むと印象に残るものとなる
  • 複数の単語からなる造語、指針につながるエピソード、自身の名前の引用がオリジナリティのある屋号を生み出す

当サイトWithConsulでは、案件の紹介を通してフリーランスのコンサルタントの活動をサポートしています。「コンサルティングというお仕事の傍らにありたい」という指針でサービスを行っているWithConsulを、どうぞお役立てください。

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