フリーランスのコンサルタントの活動は、案件に携わった際のコンサルティングワークだけではありません。この記事では、中でもフリーランスとして活動を継続するために重要なポイントである営業にスポットを当て、営業を重視するべき理由や具体的な方法について触れていきます。
フリーランスコンサルタントが営業活動をすべき理由
コンサルティングファーム所属のコンサルタントとは異なり、フリーランスのコンサルタントは能動的に案件を獲得していく必要があります。
その過程で必要不可欠なのが、自らの価値をクライアント候補に伝える営業活動です。
しかしながら、コンサルティングのスキルはコンサルティングファーム時代に身に着けたとしても、営業については全くの未経験という方もいるのではないでしょうか。また、営業畑出身の方でも、商品・サービスを売ることと自身を売り込むことでは勝手が異なります。
そこで、そうした未知数・未経験の方が多く、苦手意識を持っている方も一定数いると思われる営業活動について、その効果的な方法を大きく6つ挙げますので、ご自身の活動にぜひお役立てください。
フリーランスコンサルタントの営業方法
既存の人脈からクライアント候補を洗い出す
フリーランスの方がまず行うべきは、既に知っている方からアプローチを始めることです。
まずは既存の人脈からクライアントとなりうる候補を探し、そこから独立の報告と自身の売り込みを行うようにしましょう。まったく知らない相手よりは既につながりのある人のほうが話しやすいですし、売り込み方についてアドバイスをもらえたり、応援がてら案件に携わらせてもらえるかもしれません。
注意点としては、退職したコンサルティングファームとの利益相反になる可能性があることです。就業規則や就職時・退職時に記入した誓約書等の記載事項を確認し、問題がないか確認をしてから売り込みにあたるようにしましょう。
友人・知人に紹介をもらう
まずは独立の連絡から
直接のクライアント候補へのアプローチが終わったら、次は友人・知人の紹介を活かしましょう。
連絡を久しく取っていない友人・知人にはどのように連絡をしたらいいか分からないこともあると思いますが、まずは独立をしたという近況報告をするとよいでしょう。
友人・知人の伝手をあたってみるメリットは、まず広い人脈を持っている人がいるかもしれないという点です。長い間連絡をしていなかった知人が知らないうちに独立をしていてフリーランスとして活動していたり、起業して経営者同士のつながりを持っていたりという可能性もゼロではありません。
また、前項と同じくアドバイスをもらえたり、応援してもらえるのもメリットのひとつです。「ひとりで戦ってる感」というのは心が折れてしまう要因となりうるので、「ひとりでも多くの人に支えてもらってる感」を得るためにも声掛けを行いましょう。
そして、友人・知人の紹介ならある程度安心できる相手だというのも大きなメリットです。飛び込みで営業を行うと相手の人柄や社風まで事前には分からないものですが、友人・知人であればイヤな相手が紹介される可能性は低くなります。
既存の友人・知人はあなたの財産です。ぜひ営業活動に活かすようにしましょう。
どのように紹介してほしいかを意識しておく
友人・知人にクライアント候補を紹介してもらうにあたって、重要なのは自身をどのように紹介してほしいかを意識し、事前に伝えておくことです。
例えば「外資系流通業の日本市場参入の戦略策定・支援」のコンサルティング経験を自身の経験としてアピールしたい場合、以下の2つの内容だと強みとなる印象が異なります。
・SWOT分析や4C分析を通した日本市場の分析と競合調査およびその調査結果に基づいた戦略のアウトラインの策定
・クライアント企業の日本市場参入後の中長期的な収益予測と、その予測を軸とした人的・物的投資計画の立案と実行支援
どちらがよいという正解があるわけではなく、自身が今後携わりたい案件や市場ニーズの高そうな要素を強調することが肝心です。
対面での売り込みにも当てはまることですが、自身の経験のどういった部分をアピールしたいかを考え、クライアント候補を紹介してもらう友人・知人に対しても「ここを強調して伝えてほしい」というポイントを共有しておくようにしましょう。
交流会やセミナーで人脈を広げる
名刺や交流会用の服装を用意しておく
withコロナの現在(2021年半ば)では中々難しいところではありますが、人脈を広げるために交流会に参加するのもよいでしょう。
大事なのは、企業の経営者が集まるような交流会やセミナーに参加することです。交流会やセミナーの題材によっては、フリーランスや個人事業主向けものやリピーターが大半を占める内輪向けのものもあり、自身のクライアント候補を探す余地がない集まりもあります。
クライアント候補を探すという目的に沿った交流会やセミナーを選ぶようにしましょう。
そして、最も大事なのはそうした交流会やセミナーにいつでも行けるように準備をしておくことです。
例えばFacebookで告知されていたクライアント候補探しにうってつけの交流会が、今日の夜に開催予定でまだ枠が余っている場合。なんとしてでも行きたいところですが、名刺を切らしていたりスーツをクリーニングに出してしまっていた……なんてことがあったら、みすみすチャンスを逃すことになってしまいます。
前日・当日になって慌てないためにも、名刺や服装の準備は常に万全にしておくようにしましょう。
ネクストアクションを意識しておく
名刺を渡し、なにげない雑談を行いひと段落し、なんとなく交流が広がった感覚で交流会を後にしたとしても、そこから肝心の営業活動に繋がらなければ参加した意味が薄れてしまいます。
交流会に参加した日の夜か、遅くても翌日の午前には挨拶の連絡を送るのが望ましいのですが、その際どういったメッセージを送るのか、どのように営業の場を設けるのかを意識し、そこから逆算して交流会に参加するようにしましょう。
例えば、名刺交換のあとに「また今度御社のサービスについて詳しく聞きたいです!」と伝えておくだけでも、「名刺交換の際にお伝えしました通り、一度貴社のサービスについて詳しくお聞きする機会を~」とアポイントのための文面に繋げることができます。
多くの人と名刺交換をすると、次の日には誰が誰だか覚えていないということもあります。自分にとっても相手にとっても、「ああ、あの人か!」と思い出せるようなエピソードづけを交流会当日に行い、次のアクションに繋がるようにしましょう。
SNS・Webサイトで情報発信を行う
Facebookを活用する
すべてのSNSに言えることですが、自発的に発信をしているだけでは交友関係は広がっていきません。
特にFacebookは新たに人脈を広げる場というより、既に繋がりのある人とのコメントやメッセージでのやり取りがメインとなります。
また、先述の交流会やセミナーの告知は、友達になっている人からのシェアやFacebook上のコミュニティに参加することで見つけることができます。既存の関係を軸に、新たな人脈を構築する場を発見する取りくみが戦略的なFacebookの活用法と言えます。
もちろん、ビジネスメインの投稿をする本来のSNSとしての活用をしても構いません。ただし、投稿をすることが目的となって本来の営業活動がおろそかになってしまうことは避けましょう。特に、自身の経歴の欄でフリーランスのコンサルタントであることは忘れずに示しておくようにしてください。
Twitterを活用する
フォーマル寄りな投稿が多いFacebookと異なり、カジュアルなつぶやきツールがTwitterです。Twitterの特徴としては、お互いの投稿がタイムライン上に表示される「フォロー」を気軽に行えるということです。
最近のフリーランスのTwitterの活用法には、企業経営者のアカウントをフォローしておいて、なにか困ったことを抱えている経営者のツイートにリプライを飛ばし、案件に携わることを気さくな雰囲気で提案するというものがあります。
特にフリーランスのエンジニアに見られる「気さくな営業」と言えるこの切り口ですが、コンサルタントでも有効なやり方だと思われます。リプライ(返信)が来ればいいな。という気持ちで気軽に提案してみるのがよいでしょう。
YouTubeを活用する
近頃はYouTuberになる人が非常に増えておりますが、今からYouTubeで有名になるには根気よく動画投稿を続けることや、なにか飛びぬけた能力や実績を持っていたり、既に認知度が一定以上あるといったアドバンテージが必要になります。
また、本腰を入れてファンを増やすのであれば動画編集の工数が掛かりますし、コンテンツや企画を考えること自体にも手間がかかります。
しかし、チャンネル登録数や再生数を増やしYouTubeで収益を上げるのではなく、あくまでコアなファンを増やし潜在顧客を集めることを目的とするのであれば、やってみるのも手だと思います。
ただし、やはり1対1での営業によるクロージングなしには案件に携わることはできないため、YouTubeでコアなファンを作ったとしても営業活動というものを免れるわけではないことは留意しておいてください。
自社・個人サイトを活用する
法人化しているのであれば自社のサイト、個人事業主として活動するのであれば個人サイトを作っておくことは、クライアント候補からの信用を得るためには有効です。
Google検索から新規のアクセスを見込むことは、YouTubeで登録者数を増やすこと以上に大変であると言えますので、ファンを増やすためのブログのような活用ではなく、あくまでコーポレートサイトとしての機能を持たせる目的で使用することをお勧めします。
メールやメッセージを送信する
企業サイトから問い合わせを送る
企業のオフィシャルサイトの大半には、お問い合わせフォームが設けられています。自身のクライアント候補となる企業をリストアップしておき、リストの上から順にコンサルティングの提案のお知らせを送っていくのがダイレクトな営業方法のひとつです。
ただし、企業のお問い合わせフォームからはほかにも営業の連絡が届いていることや、その企業の顧客からの質問や要望への対応が優先されることから、返信率は多くて2%、50件に1件返信があればラッキー程度にみておいた方がよいでしょう。
しかし、フォームから送る内容自体は流用が可能ですので、労力を少なく行える営業活動として押さえておくとよいと思います。
SNSでメッセージを送信する
Twitterの項目でも触れたように、困ったことが顕在化しているツイートにリプライを送ったり、DM(当人同士にしか見られないメッセージ機能)を送ったりという形でコンサルティングの提案を行うのも有効です。
特に、お問い合わせフォームからの投げ入れとは異なり、対象のアカウントに質問や要望、営業の連絡が集中していることはあまりなく、SNSという気軽な距離感から返信率が高くなる点がメリットといえます。
一方、お問い合わせフォームからの投げ入れとは異なり、相手の悩みに対する提案となるため文言の流用ができず、一人ひとり文章を考え送信する必要がある点で1連絡あたりに掛かる時間は多くなります。
逆にテンプレートの流用のようなメッセージをSNSで送ってしまうとスパム扱いされてしまう恐れもありますので、血の通ったメッセージを送るようにしましょう。
フリーランスコンサルタント向け案件紹介サービスを活用する
フリーランスのコンサルタントの営業活動について、ここまで個人で行えるさまざまな立ち回りをお書きしてきましたが、個人でできることには限界があります。
また、コンサルティングファームでの営業経験をお持ちであったとしても、コンサルティングファームの社員として営業をするのと、個人のコンサルタントとして営業するのでは、勝手も異なり、受注の確率も変わってくると思います。
独立したからといって、経験が無く不得手な営業活動に時間と労力を費やすよりも、営業機能についてはアウトソースを活用すると割り切って、コンサルティングワーク自体にご本人のリソースを振り分けたほうが効率よく仕事を進められるかもしれません。
当サイトWithConsulでは、コンサルティングファーム出身者または同等のスキルを持つフリーランスのコンサルタントと、様々な経営課題をかかえる企業様とをマッチングするサービスを行っております。
参画先の案件を探してマッチングを行うだけでなく、各コンサルタントの方のキャリアプランや、独立された目的などを加味して、ご希望やご状況にマッチした案件をお探しさせていただくことを強みとしております。
例えば、「今までのコンサルティング経験を最大限に生かし、高単価の案件に参画したい。」「独立して事業をスタートしたいので、稼働できるのは40%程度」「ITコンサルタントとして仕事をしてきたが、今後は業務、戦略コンサルタントへと幅を広げていきたい。」といったご要望にも出来る限りお応えできるよう、多種多様な案件をご紹介可能です。
WithConsulでは、登録や案件の紹介料をコンサルタントの方からいただくことはございません。その他独立やキャリア形成のご相談、市場の単価感等の動向についてのご相談も無料で実施しております。
まずはお気軽にご登録、お打ち合わせ(対面、またはリモートも可)させていただければと思います。ご不明な点がございました場合もお気軽にお問合せください。
ひとりでの営業活動に不安や疲労を感じている方に、WithConsulが力になれたら幸いです。
まとめ
今回の記事ではさまざまな内容をお伝えしましたが、特に重要なポイントをピックアップしておきます。
- 案件を獲得するには営業が必須!
- まずは自分の周りからクライアント候補を洗い出そう
- 独立したことを知人・友人に連絡してみよう
- 交流会では名刺交換→お礼の連絡→アポイントの流れを意識しよう
- フォーマルな情報の発信やイベントの参加はFacebookを活用しよう
- Twitterで悩みを抱えている見込み客にカジュアルな提案をしよう
- コンサルタントと企業のマッチングサービス、WithConsulを活用しよう
今回の記事では無料で行えるもの、安価で準備ができるものをメインにお書きしました。特にWithConsulのマッチングサービスは全て無料でご利用いただけますので、ぜひお気軽にご利用ください。
WithConsul 編集部