コンサルティングファームに所属している社員の中には、フリーランスへの独立を視野に入れている方もいると思います。しかしながら、独立のタイミングはいつ頃が適切なのか、独立のために何を準備すればいいのか分からないという方も多いはず。

そこで、この記事ではコンサルティングファーム所属からフリーランスへの転身した人物への取材をベースに、その成功事例をご紹介します。この事例がご自身のキャリアパスの参考になれば幸いです。

・今回取材した方

お名前:匿名希望(本記事では「A氏」と表記します)

経歴:2000年前後に外資系コンサルティングファームに入社、4年間所属した後、事業会社に転職し4年間所属、その後12年に渡りフリーランスコンサルタントを継続中

コンサルティングファームから転職・独立をするきっかけとタイミング

A氏によると、コンサルティングファーム所属時代の同期や先輩がコンサルティングファームから転職・独立する際、そのきっかけは大きく分けて3パターンあったとのことです。

一つめは「事業の当事者になりたい」というものです。コンサルタントはクライアントの課題解決を自らのミッションとしていますが、コンサルタントによっては、クライアント企業の案件をサポートする第三者であり、当事者として事業を実施する経験を積むことが難しいと言えます。そうした理由でコンサルティング会社から事業会社への転職を行う人、自らビジネスを立ち上げる人がいたようです。

二つめは、家業を継ぐというものです。自身が30代になり家業を経営している親族が引退期に差し掛かるタイミングで、コンサルティングファームでの経験を活かし、家業の経営に参加するために退職をする人が意外と周りに多かったとのこと。

このケースは、入社前からいずれは家業の経営に参加することを想定して、スキルアップするためにコンサルティングファームに入社する人がほとんどのようです。

三つめは、やりたいプロジェクトが今のコンサルティングファームに存在しない、若しくはやりたいプロジェクトにアサインしてもらえないというアサインアンマッチがきっかけで転職するパターンです。

近年のコンサルティングファームは総合的・多角的に案件をサポートするケースが増えてきていますが、それでもコンサルティングファームごとに得意な案件や着手できる領域が異なっています。そのため、自身のやりたい領域の案件を抱えているコンサルティングファームへの転職を決断する人も多いようです。

A氏の感想では、コンサルティングファームからいきなりフリーランスのコンサルタントへと独立するケースは思いの外少なかったとのことです。一方で、例えば「コンサルティングファーム→事業会社→フリーランス」といったケースや、「コンサルティングファーム→コンサルティングファーム→フリーランス」といったケースなど一旦別のコンサルティングファームや事業会社を経由してから独立するというパターンの方が多かったとの印象であったそうです。

では次に、成功するフリーコンサルタントが独立する前に行う準備について取材を通して分かったことを見ていきましょう。

コンサルタントが独立する前におこなう準備


1.独立する理由を明確に

A氏によると、コンサルティングファーム所属のコンサルタントがフリーランスになる前におこなう準備として一番重要なことは、「何のためにフリーランスのコンサルタントになるのか」を自分の中で明確にしておくことです。

多くの成功しているフリーコンサルタントは、フリーランスになることが着地点ではなく、あくまでキャリアパスの経由地点としてフリーランスコンサルタントの道を経験しています。

例えば起業のための準備期間として、工数の20%を創業準備に充てながら、残り80%でフリーランスコンサルタントとして案件を実施するという形が挙げられます。起業という目的があり、その準備期間に収入を得ながら実務経験を重ねる手段としてフリーランスコンサルタントになるという価値観です。

実はこのように自身に明確なビジョンがあるほうが、フリーコンサルタントとしての人材評価は高くなるケースが多いとのこと。コンサルティングファームから独立した理由、フリーランスとして独立している理由が明確でポジティブなほうが、コンサルタントとしても信頼できるという評価に繋がります。

そして、そもそもコンサルティングという仕事があなたに合うか合わないかを判断することが大事です。コンサルタントという仕事が苦手な人は、フリーランスになってもやはりバリューを発揮することが難しいため、まずはコンサルティングファーム所属の時期に一生懸命に仕事に取り組むことで、そもそも自分にコンサルタントという仕事の適性があるかどうかを判断するとよいでしょう。

2.IT関係の知見、経験

準備の2つ目として、IT関係の知識は非常に大事です。現代のサービスは基本的にITと切っては切れない関係にあることもあり、A氏がフリーコンサルタントとしてアサインされる案件にはITが多く絡んできたとのこと。

フリーランスコンサルタントは案件を選択する自由がありますが、発注主であるクライアントに指名してもらえないとそもそも案件に参画することすらできません。コンサルティングファームにいるうちからIT関連の複数のプロジェクトでの経験を積んでおくと、フリーランスになった際の案件選択肢の幅が広がることになります。

3.リスクヘッジ

また準備の3つ目として、一向に案件が決まらない場合の逃げ道を念のため作っておくことです。フリーランスコンサルタントの案件の全体数は、国全体の景気に左右される面があります。実際にA氏が経験したケースでは、東日本大震災当時に景気の煽りを受けてクライアント企業の発注プロジェクトが少なくなり、参画案件がなかなか決まらなくなったことがありました。

そうした不測の事態に備えるべく(2020年3月現在、コロナウイルスや蝗害など景気への懸念事項が複数有ることもあり)、案件が決まらないことへのリスクヘッジは非常に重要です。

例えば、一定の期間、案件に参画できなくても生活に困らない貯蓄を準備する。というのも一つの方法ですし、一定の期間案件に参画できなければ、元の会社への出戻りや他のコンサルティングファームへの就職を視野に入れるといったことが挙げられます。

(WithConsul編集部 注 いくつかのコンサルティングファームでは、退職後の一定の期間は、外部の協力者、下請けのコンサルタントとして案件に参画することを禁止している会社もございますので、「出戻り」が受け入れられない場合もございます。)

独立する前に所属ファームで経験しておくこと

1.しっかりとスキルを身に付けてから独立すること

独立するまでにマネージャークラスまで上がっておくこと、または少なくとも3年間はファームで経験を積むことをA氏は推奨しています。

理由としては、フリーランスはファームに所属していた時以上に実力主義の面が強い点です。フリーランスのアサイン期間はプロジェクト自体が1年、2年と続く長期のプロジェクトだとしても、契約は3か月単位で延長しながら参画していくことが多いですが、実力不足と判断されれば延長の契約はされないこともある世界です。

また、自身の得意領域を持っておくこともA氏がフリーランスとして仕事をする際には重宝しました。現場で自分にしかできない業務があれば、代替が効かないためにリリースされる可能性がグッと下がるためです。

2.自身を売りこみ、必要とされる「営業」のスキル

A氏の経験上、実力主義の世界でクライアントから信頼されるには、営業的なスキルも少なからず必要です。というのも、黙々と案件をこなすだけではなく、業務をこなしていることを対外的に認知してもらったり、円滑なコミュニケーションを取り人間関係を良好にするスキルがコンサルティングワークの効果を最大化させ長期的なお付き合い(継続した発注)に繋がることも多いためです。

そのため、目先のタスクをこなすことで一杯一杯になるのではなく、多少の余裕を持っておく必要があり、マネージャークラスの経験値は役立つと言えます。

案件がトップダウンで降ってくる仕組みや教育のシステムがある点、共通の土壌を仲間内で持てる点はコンサルティングファームの良い点です。それらのメリットを享受しつつ経験を積み、充分な準備を整えてから独立をすることをA氏はオススメしています。

そして上記の準備を終え、フリーランスコンサルタントとして独立する準備が出来た際には、当サイトの案件紹介サービスをぜひご活用ください。

WithConsulではフリーランスコンサルタントへの案件紹介歴10年を超える実績を持つメンバーを筆頭に、皆様にハイレベルなサポートを実施しております。

WithConsul 編集部

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