新型ウイルスによる感染症が収束した場合、旅行と仕事を組み合わせたワーケーションという働き方にスポットが当たることが想定されます。
働き方改革に際し、ワーケーションは長期休暇が取りやすくなり正社員の有給休暇の取得率が向上するというメリットが注目されており、正社員を多く抱える大企業およびそこで働く正社員がその恩恵を享受することができます。
また、環境省では国立公園等での誘客やワーケーションの推進を通した地域活性化に約30億円の補正予算を組んでおり、地方創生および観光地の活性化を目的として国からの支援も期待することができます。
大企業およびその正社員、そして観光地がワーケーションのメリットを享受できる一方で、フリーランスの働き手、とりわけフリーランスのコンサルタントはワーケーションのメリットを得ることができるのでしょうか。この記事ではその点を詳しく見ていきます。
そもそもワーケーションとは
ワーケーションとは「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語で、休暇中にリモートワークとして仕事を行うことを指します。ワーケーションは2000年代のアメリカを起源とし、日本では2017年に日本航空(JAL)が働き方改革の一環で大々的に取り組んだことで話題となりました。
特に、「仕事が終わらないから旅行先でも持ち出しで仕事をする」という考えではなく、「旅行先でしっかりと休暇を取りながら仕事もする」という観点であることがポイントとなります。多忙でなかなか休みが取れない働き手が、遠方で休暇を取りながら仕事にも取り組むことができるという視点こそが、ワーケーションの本質なのです。
ワーケーションのメリット
環境を変えることで仕事への集中力が向上する
リラックスした環境でリフレッシュしながら仕事をすることにより、時間あたりの業務の効率化を図ることができます。休暇中の合間に仕事を行うため、短時間で集中力を保ちながら業務に携わることができるようになります。環境を変えることで革新的なアイデアが出ることも期待できます。
また、心身の疲れを取り、家族と一緒に過ごす時間を作りコミュニケーションをとることで、ワークライフバランスの調整を行うことができます。仕事一辺倒の環境から解放されることにより、仕事や人生と向き合いモチベーションか向上することもまた、仕事の効率化やパフォーマンスの向上につながるのです。
以前の「【2021年版】フリーランスとサラリーマンの働き方・考え方の違いとは」という記事で触れたように、フリーランスの方はノンフリーランスと比べ「仕事が自分のライフスタイルに合っている」という実感をもって仕事に取り組んでいる割合が多いという調査結果が出ています。時間や場所に縛られることが少ない生き方を選択するフリーランスにとって、ワーケーションという働き方は相性がよいと考えられます。
長期休暇中にも勤務先の状況を把握することができる
長期の旅行でも業務に関わることができるため、業務の進行状況を把握しながら休暇を取ることができ、現場に復帰した際にキャッチアップに時間を割く必要がなくなります。
また、長期休暇を挟むと体が休んでいる状態に慣れてしまい、プロフェッショナルとして現場に復帰することが難しくなってしまう方もいます。いわゆる「五月病」と呼ばれるこのような課題を解決できるのが、休みながら働くというワーケーションの大きな利点なのです。
ワーケーションのデメリット
適切な通信環境を確保する必要がある
旅館や民宿からテレワークを行うと、場所によっては通信環境が悪く、リアルタイムでの会話や画面共有を通した業務が困難となるリスクがあります。
こうしたリスクを避けるためには、インターネットやVPNを使える環境を整えておく必要があり、ポケットWi-Fiを契約したり通信環境が部屋ごとに整備されている宿泊先を選定したりと、運用に時間と資金面のコストが掛かることが想定されます。
勤怠管理をおこなうのが難しい
在宅でのテレワークでも同様ではありますが、業務を行った時間を遠隔で正確に把握することは非常に困難です。特にワーケーションは休暇と仕事の両立であるため、どの時間帯は休暇中でどの時間帯は勤務中なのかは、当人の自己申告によるところが大きくなります。
それに伴い人事的な評価も難しくなります。ワーケーション中に作成する成果物を指定するなどして、達成度合いから稼働率や人事評価を行うことも可能ですが、今度は「徹底管理されている感覚」が働き手にとって心の休まる環境ではなくなり、そもそもワーケーションを行う意味合いが薄くなってしまいます。
「休暇」と「仕事」の良いところ取りは、そのバランスを見誤ると悪いところ取りに反転してしまうおそれがあるのです。
情報セキュリティ面でのリスクがある
オフィスから持ち出しで仕事を行うとなると、個人情報や社内の機密情報の流出リスクが高まります。
特に在宅ではなく外での仕事となると、ノートパソコンをうっかり旅先のカフェに忘れてきてしまったことから紛失や盗難が起こってしまう可能性もゼロではありません。「休暇中でもしっかり出来るか」は働き手に委ねられており、端末に二段階認証を取り入れたりオープンなWi-Fiからのアクセスを制限するといったセキュリティ対策が必要になります。
ワーケーションのメリットをフリーランスのコンサルタントは活かせるか
ワーケーションのメリットの享受
仕事への集中力の向上
フリーランスのコンサルタントの多くは、環境を変えながらキャリアを描くことが望ましいワークスタイルであると考えています。そのため、ワーケーションとは本質的に相性がよいと言えます。
また、フリーランスのコンサルタントは家族と向き合う時間を大切にする傾向にあります。コンサルティングファーム所属のコンサルタントは基本的に激務で、なかなかプライベートの時間が取れず、自分や家族との時間を確保するために独立の道を選ぶ人が多くいるのです。そのため、家族サービスをしながら仕事ができるというワーケーションという仕組みは、フリーランスのコンサルタントにとっては魅力的に映ることでしょう。
アサイン先の状況を把握
「時間を確保するために独立」とは書きましたが、フリーランスのコンサルタントであってもクライアント企業へのアサイン中は長期で休暇を取れる可能性が低いものです。
例えば1日2日のブランクでも業務内容によっては状況が大きく変わる可能性があり、ブランクを埋めるキャッチアップの必要性が生まれるため、コンサルタントは1泊2日の旅行さえ許されないかもしれません。そこでワーケーションの仕組みを導入することにより、間を縫う形で旅行が認められる可能性があります。
こうした点から、「ワーケーションの仕組みを取り入れている」ということが優秀なコンサルタントをアサインしたり、社員としての本採用を提案する際の企業側の強み・魅力となります。
ワーケーションのデメリットの解消
適切な通信環境の確保
フリーランスのコンサルタントは様々なアサイン先で適切な通信環境を確保し、業務に勤しむことに慣れています。つまり環境の変化に応じて業務を行うことに慣れており、「ワーケーション先で通信環境を確保できなかった」といったミスを起こす可能性は非常に小さくなります。
環境の変化に慣れているフリーランスのコンサルタントだからこそ、ワーケーションという仕組みを安心して活用させることができます。
勤怠管理
コンサルタントは有形の成果物の納品だけが業務ではなく、自身のバリューを示すことを常に考えながら仕事をしています。特にフリーランスのコンサルタントはコンサルティングファームからのアサインと比較して契約を容易に打ち切られる可能性があることから、より自発的に成果を示す(同時に、怠けていると思われないようにする)ようになります。
すなわち、勤怠管理が難しく稼働が不透明であるワーケーションの環境であっても、自身の成果を示すべくプロフェッショナルマインドを持って業務に、そして休暇にあたることができるのがフリーランスのコンサルタントなのです。
情報セキュリティ面の担保
フリーランスのコンサルタントが交わす業務委託契約には、秘密保持契約(NDA)がまず含まれると言っていいでしょう。特に戦略コンサルタントやITコンサルタントはクライアント企業の深い情報に関わることが多く、情報面でのセキュリティ意識は通常のサラリーマンよりも徹底しているといっても過言ではありません。
普段の業務でも徹底して意識していることであれば、環境が変わっても注意を継続することができます。旅先でも平時と同様にリスク管理ができるのもまた、フリーランスのコンサルタントならではの強みと言えます。
まとめ
今回の記事では、大企業向けのメリットが注目されているワーケーションという仕組みについて、フリーランスのコンサルタントでも恩恵が得られるかについて記載しました。
- ワーケーションにはパフォーマンスの向上と勤務先の状況の把握というメリットがある
- ワーケーションには通信環境、勤怠管理、情報セキュリティの面でデメリット、リスクがある
- フリーランスのコンサルタントはワーケーションのメリットを享受し、デメリットを解消することができる
先述のとおり、ワーケーションは自分の時間を確保し環境を変えながらキャリアを形成するフリーランスのコンサルタントにとって、魅力的に映る可能性が大いにあります。優秀なコンサルタントの起用や採用を検討している企業は、ワーケーションの仕組みを取り入れることを検討してみてはいかがでしょうか。
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