事業者とフリーランス間の取引における労働者の権利を守るため、厚生労働省が2021年に「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を策定し、環境整備を進めていることを「【2021年版】フリーランスとサラリーマンの働き方・考え方の違いとは」という記事でご紹介しました。

フリーランスの活用を推進する国の動きは、令和元年に経済産業省の関東経済産業局が発行した「外部人材活用ガイダンス」からも読み取ることができます。

当ガイダンスでは「雇用ではなく業務委託による人材活用が注目されている」とし、外部人材のスキルや知見を活用することで、人材不足を打破し経営課題を解決することができるとしています。

当ガイダンスにおいて外部人材は「業務委託(請負契約や準委任契約)を企業や個人と結び、商品やサービスではなく、自分自身のスキルや知見を売り物として、価値提供を行う人々」と定義されており、法人経営者(法人成りしている個人)・個人事業主・すきまワーカー(開業届未提出の個人)に分類されており、広義の意味でフリーランスと同義です。

このガイダンスの中には外部人材、すなわちフリーランスを活用する具体的なメリットが6点記載されており、これらのメリットはコンサルタントという職業にも当てはめて考えることができます。実際にガイダンスの内容に触れ、企業がフリーランスのコンサルタントを活用するメリットを見ていきましょう。

外部人材を活用する6つのメリット

必要な技術、ノウハウや人材の獲得

出典:外部人材活用ガイダンス(経済産業省 関東経済産業局)

コロナ禍を経た現在が売り手市場か買い手市場かは評価が分かれるところですが、人材の二極化が進んでいるという見方が強くあります。すなわち、高い専門性をもった人材は依然売り手市場であり、正規雇用で採用するのは困難で、年収も高騰気味であると考えてよいでしょう。

案件に応じて必要な人材を業務委託契約にて活用することで、プロジェクト単位で優秀な人材を動員することができるようになります。正規雇用よりも採用のハードルは低く、月単価で見れば正社員採用よりも優秀なフリーランス人材のほうが人件費が高くなる傾向にはありますが、必要でないタイミングでも人材を社内に雇用し続け、中長期的な活躍の場を模索する必要がなくなることを考えれば、費用対効果が高いと考えられます。

フリーランスコンサルタントの活用について

フリーランスのコンサルタントも売り手市場であり、優秀なコンサルタントを正規雇用で採用するとなると年収1000万以上は優に提示する必要があります。また、優秀なコンサルタント人材はなかなか転職市場に出てこず、一方でフリーランスとして独立するコンサルタントは増加傾向にあります。

案件に応じて必要な人材をスポットで活用することは、コンサルティングという職種においても当てはまると考えてよいでしょう。その流動性や専門性から、コンサルティングこそフリーランス人材が活きる場であると言えます。

オープンイノベーション

人材や環境が固定されると、組織として革新的な思考や行動を行うインセンティブが働きにくく、旧態依然とした体制になってしまいがちです。

社内に存在しない外部人材から新たな視点を提供してもらうことで、革新的なイノベーションが起こるきっかけが生まれます。特に特定の組織派閥と利害関係がない第三者だからこそ、人間関係的なしがらみに囚われず柔軟な発想で物を考え、発言することができます。

フリーランスコンサルタントの活用について

第三者視点から業務に携わることがコンサルタントの職務のひとつであるため、フリーランスコンサルタントはオープンイノベーションと相性が非常によいと言えます。優秀なコンサルタントは、自身が「異質」であることを強みとして現場での立ち位置を構築し、日々の業務に勤しんでいます。

資金と時間の節約

未知の分野を自社の人間が試行錯誤しながら取り組むと、その人材には学習コストが発生します。学習には時間が掛かり、当人が本来行うはずであった業務時間を学習に充てる必要があるため、学習フェーズにおいては金銭的な収支はマイナスと見なしてよいでしょう。

このような形で未知の分野へのキャッチアップを行うよりも、その道に既に精通している専門家を活用したほうが、資金も時間も節約することができます。

フリーランスコンサルタントの活用について

専門領域を持ったコンサルタントはまさに、その道のプロフェッショナルとして即戦力になることができます。

コンサルタントは自身の専門領域のアサイン歴や成果をポートフォリオとして経歴書に記すため、実績と月の単価感を照らしながら適切な人材を選出し、即座に業務に役立てることができるのです。

柔軟な人材活用

必要なタイミングで必要な期間活用する・されることが、依頼主とフリーランス人材双方にとってのメリットとなります。柔軟な形で人材を活用したい企業と、柔軟なワークスタイルで働きたい人材の利害関係が一致した働き方がフリーランスなのです。

フリーランスコンサルタントの活用について

フリーランスのコンサルタントは一定期間をもって環境を変え、様々な業務に携わることをワークスタイルとしています。

当ガイダンスでは外部人材の報酬のひとつに「信頼報酬」というものを記載しており、「業務を通じて得られる実績、人脈など」と定義しています。一定期間の委託業務を複数こなしていくことで、フリーランスのコンサルタントの実績がキャリアとして積み上げられていきます。

必要な期間だけ業務を委託することは、依頼する企業と信頼報酬を得たいコンサルタントの間において、まさにWIN-WINの関係と言えるのです。

社員の業務量・負担の軽減

「資金と時間の節約」の項目と重なる部分もありますが、社内の人員に未知のタスクや専門外のタスクを振ると学習コストが掛かり、人材不足であれば通常の業務と兼任するケースもあるため、過重労働となりかねません。

外部人材の力を取り入れることで既存の社員の負担を減らすことができ、超過勤務を回避しながら当人がパフォーマンスを最大限に発揮できる業務に集中させることができます。

フリーランスコンサルタントの活用について

優秀なコンサルタントは時間対効果が高く、一般社員が長時間働いて行う仕事量をより少ない時間でこなすことができる能力を持っています。そのため、フリーランスのコンサルタントをアサインすることで、既存の社員の余剰な労働時間をカットできる可能性が高まるのです。

採用・移住・事業承継のお試し期間

採用や事業承継を視野に考えた際に、業務委託の期間を設けることで相性や環境の良し悪しをあらかじめ双方が見極めて検討することができます。

特に日本の法律上、一度正社員として採用した人材はなかなかリストラすることはできません。結果、相性や環境が合わずにパフォーマンスが下がってしまった人材には、場当たり的な仕事を与えて抱え続けるか、やんわりと促す形で自主的に退職することを待つしか手がなくなってしまいます。

そのような人的リスクを避けるためにも、まずは業務委託で部分的に会社に関わってもらうフェーズを踏むことが有効なのです。

フリーランスコンサルタントの活用について

優秀なコンサルタントは自身の理想とするキャリアを思い描いていることが多く、また流動性が高い職業です。そのため正社員として採用されたとしても、想定と違う環境であると判断すると短期で辞めてしまう可能性があります。

業務委託期間を経て双方が納得した上で採用することで、中長期的な雇用関係に至ることが可能です。優秀なコンサルタントに長く会社に居てもらうためにも、まずはフリーランスという形で関係を構築することは非常に理にかなっているのです。

まとめ

今回の記事では、経済産業省の関東経済産業局発行の「外部人材活用ガイダンス」を基に以下のポイントをご紹介しました。

  • 外部人材を上手く活用することで、人材不足を打破し経営課題を解決することができる
  • 外部人材をフリーランスとして活用することは、技術・人材・アイデア・資金・時間・既存社員の負担軽減・採用といった面でメリットがある
  • 当ガイダンス記載のフリーランス活用のメリットは、コンサルタントにも当てはめることができる

特に専門領域をもって案件単位で業務に携わることのできるフリーランスのコンサルタントは、新しいプロジェクトに際して既存社員の学習コストを抑え、即戦力として短期間で大きな成果を出し、プロジェクトの成功に寄与することができます。

優秀なコンサルタントを社員として本採用したいとお考えの企業の方も、まずはフリーランスとして活用することで人柄や環境との相性を計ってみることをお勧めします。

WithConsulのサービスには数多くのフリーランスのコンサルタントが登録しており、クライアント企業のオーダーに応じて適切な人材をご紹介いたします。ぜひお気軽にご登録ください。

おすすめの記事