ここ数年企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の促進が各企業の最重要の取り組みに挙げられることが多く、既存のIT組織をDXという革新に適合させることは容易ではなく、長年培われた組織文化が技術の変化とコンフリクトするケースは少なくありません。

そこで、DXを企業において推進する際、IT組織が持っておくべき意識について、ガートナー社の記事『デジタル化推進のために必要なIT組織文化の4つの重要な指標』を参照しながらご紹介いたします。

参照:
https://www.gartner.co.jp/ja/articles/can-your-it-team-culture-drive-your-digital-ambitions

IT組織がビジネスモデルを理解しているか確認する

既存のIT組織文化をDXに適合させていくには、組織の在り方と企業のビジネスモデルを整合させる必要があります。そのために、まずはビジネスモデルに対するIT組織の理解度を調査する必要があります。

調査項目は大きく4種類に分かれ、ガートナー社では「外部の顧客/市民」「価値提案 (バリュー・プロポジション)」「能力」「財務」と題しています。こちらの記事ではこれらの文言をより噛み砕いた形で、「顧客への理解」「提供価値の理解」「必要な能力の把握」「財務状況の把握」として解説します。

顧客への理解

展開しているビジネスが顧客についてや業界について、そしてそれらの要素に影響を与える外部要因について、IT組織がどの程度知っているかの指標です。

提供価値の理解

顧客に提供している製品やサービスについて、IT組織がどの程度理解しているかの指標です。

必要な能力の把握

展開中のビジネスを遂行するするために必要とされる能力(主に人・金・モノ・情報)について、IT組織がどの程度準備や調査をおこなっているかの指標です。

財務状況の把握

収入や支出、資金調達モデルや財務のKPIといった、企業全体の財務状況についてIT組織がどの程度理解と対応をおこなっているかの指標です。

マッピングによって課題を確認する

上記の各指標について、以下の項目に基づいて評価していきます。

・レベル1/不整合:整合性に欠け、その認識がない状態。
・レベル2/認識:整合性に欠けているが、ある程度その認識がある状態。
・レベル3/対応:企業のビジネスのニーズに対応しているが、完全に整合しているとは言い難い状態。
・レベル4/整合:企業のビジネスのニーズに整合している状態。
・レベル5/先進的:企業のビジネスのニーズに整合しており、将来にも備えている状態。

これらに基づいてマッピングを行うと、以下のような図が描けます。

出典:ガートナー

こうした図をベースにすることで、IT組織をどのように変革していくかの共通認識をもつことができます。たとえば上記の図の場合、各項目に大きな差はありませんが、とりわけ顧客への理解が不足しており、顧客に関するデータを共有したり、営業部門やカスタマーサービスの担当者との認識のすり合わせを行うことが効果的です。

また、IT組織として理想の状態は上記項目のレベル5であるため、企業のニーズとの整合性を取るだけでなく、先々の展開に対する準備を整えておくことが求められます。

そのためには企業のトップから指示を得るだけの待ちの姿勢ではなく、ビジネスの変化や中長期的な展望を理解するための積極的なコミュニケーションを取る組織形態が理想的です。

DXに向けてIT組織を変革する

DXに向けてIT組織が取るべき具体的な施策は、各項目ごとに以下のようなポイントが挙げられます。

・顧客への理解
企業による顧客のセグメント化の方法と理由、顧客にリーチするためのチャネルについての情報を把握します。また、業界全体や競合の状況について明確に把握します。

・提供価値の理解
ハッカソンやセミナーを通じて、製品やサービスの内容や成長見込み、競争力についての理解を深めます。この機会を四半期に一度などの形で定例化することにより、情報の自然なアップデートも促進することができます。

・必要な能力の把握
組織内のメンバーとIT戦略を共有し、人・金・モノ・情報における競合他社との強みや弱みの共通認識を持ちます。その上で、企業内に属するIT組織として不足している部分を明らかにします。

・財務状況の把握
組織内から財務担当の精鋭チームを任命し、IT部門に割ける予算がどの程度担保されているかを把握します。企業のニーズに対応するために予算が不足している場合は、CFOやCEOに提示する追加予算を、論理的根拠を含めながら考案していきます。

まとめ

今回の記事では、DXに向けたIT組織の変革方法について、以下のような内容をご紹介しました。

  • IT組織がどの程度ビジネスモデルを理解しているかを判断する項目について
  • IT組織のビジネスへの理解度を可視化するマッピングについて
  • IT組織をDXに向けて変革する具体的な方法について

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