「個の時代」と言われてから年月が経ち、私たちは会社に依存しない生き方を選択できるようになりました。
フリーランス市場は労働人口・市場規模ともに年々増加傾向にあり、厚生労働省主導でガイドラインが作られるなど、国からのアプローチも期待できます。
そこで、今回の記事ではフリーランスを取り巻く環境の変化や金銭面で気を付けておくべきことを、フリーランスの実態調査データを参照しながらご紹介します。フリーランスとして独立すべきか迷っている方にも参考になりますし、既にフリーランスとして働いている方にも考え方の確認や見直しに有意義な記事となっているはず。ぜひご覧ください。
増加するフリーランスと仕事の取り方・向き合い方の変化
フリーランスの実態調査データから読み解く
過去最高の市場規模・労働人口となったフリーランス市場
フリーランス人口は2018年から2020年はほぼ横ばいとなっていましたが、2021年には500万人以上増加しています。労働人口に対するフリーランスの割合はアメリカと比べて少ないものの、今後は差が縮まることが示唆されます。
労働人口の増加とともに経済規模も過去最大となっており、コロナ禍でやや落ち込みが見られた昨年から10兆円もの増加となっています。
フリーランスの仕事の取り方の変化
仕事の探し方として、人脈の活用が最も多い手段ですが、昨年からの上昇幅がもっとも大きいのはエージェントサービスの活用です。
コロナの影響により人脈を活かした対面でのアプローチが中々難しくなったことや、フリーランス増加を受けてエージェントサービス(人材紹介サイト)が各業界に充実してきたことが理由として考えられます。
フリーランスの感じる仕事の手ごたえと課題
フリーランスはノンフリーランスと比べ、ライフスタイルに合っていることややる気があることが上位に来ています。フリーランスは自分の働きたいときに働くことができる場合が多く、また能動的に案件を選択し獲得するため、仕事へのモチベーションも上がりやすいです。
また、「仕事を通じて自分を表現できている」の項目がフリーランスとノンフリーランスで差が開いている点にも注目です。専門性の高い仕事やクリエイティブ系の仕事は、組織の一員としてよりも個としての仕事のほうが自己表現・自己実現が可能であることが伺えます。
一方で、フリーランスとしての働き方に感じる障壁として、収入や仕事の獲得が安定しないことが挙げられています。
特に収入面に関しては、案件単位で仕事を獲得することが多く、年間を通して安定して仕事のある状態をキープすることはフリーランスにとって難しいと言えます。
これは考え方によっては働かない時期を自由に作ることができるということでもあるのですが、自分の意思に反して仕事にありつけない、収入が予想よりも下回ってしまったというケースも往々にしてあるでしょう。
フリーランスが安心して働ける環境作りの必要性とアプローチ
噴出するフリーランスの報酬引き下げや契約解除の問題
フリーランスの感じる課題に収入面の不安定さがあることに触れましたが、近年で話題となった事例としてウーバーイーツの報酬引き下げが挙げられます。
イギリスでは実質的な賃下げを受け、ウーバー運転手が抗議のストライキを行い、最高裁判所が運転手への社会的保護を命じる判決を下しました。この判決により、運転手には最低賃金保障や有給休暇の制度が設けられるなど、労働者の扱いが向上しています。
日本ではまだ、こうした事例のようなフリーランスへの賃金保障や福利厚生の拡充は行われておりません。しかし、厚生労働省がフリーランスに関するガイドラインを策定するなど、権利を守るための仕組みを作ろうとしています。
厚生労働省によるガイドラインの策定
厚生労働省は2021年3月、「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を策定し、事業者とフリーランス間の取引において労働者の権利を守り、問題行為を未然に防ぐための環境整備を進めています。
同ページでは、仕事や契約でのトラブルの際に弁護士に無料相談ができる窓口「フリーランス・トラブル110番」も設けられており、問題に直面したフリーランスへの救済策を積極的に設けていることが分かります。
上記で見てきたように、フリーランスという働き方は自由の獲得や自己実現という面で非常に優れているものの、収入面においてはまだ課題が見られるといえます。そこで、フリーランスが充分な収入を得るために何を意識すればよいのか、以降で見ていきましょう。
フリーランスが充分な収入を得るための考え方と行
フリーランスの収入統計データから得られる情報
オンライン収入源TOP3はWeb、エンジニア、コンサルティング
「フリーランス白書2021」からは、フリーランスがオンラインで行う業務の職種TOP3が「クリエイティブ・Web・フォト系」、「エンジニア・技術開発系」、「コンサルティング系」であることが分かります。
これらは「フリーランス実態調査」の資料にて、専門性やクリエイティブ性のある仕事がフリーランスに増えていることと一致しています。
フリーランスが想定以上に稼ぐ必要がある理由
税金や社会保障のための出費
上記資料に基づき専業でフリーランスをやることで平均355万円の収入が得られることが分かりましたが、安定した生活を行う上で充分な金額であるとは言えません。
理由としては確定申告にて所得税を払う必要性があることと、住民税も自己負担であること、国民保険など社会保障のための費用も掛かってくる点が挙げられます。
特に自営業系独立ワーカーは自身の事業を継続・発展させる必要があり、法人化を視野に入れると資本金も確保しておく必要があります。そうした面を考えると、データとして出されている平均よりも多くの収益を確保しておくことが大事と言えます。
勢いのままフリーランスとして独立して困らないために
貯金をある程度確保してから独立をする
まずは仕事が得られない、突然案件が途絶えてしまうといった状況でも金銭的に耐えられるように、フリーランスとして独立する前にある程度の貯金をしておくことが望ましいでしょう。
まとめ
今回の記事では、フリーランスにまつわる各種資料をベースに、以下のことをお書きしました。
- フリーランス市場は労働人口、市場規模ともに過去最大である
- 人脈やエージェントサービスを活かしてフリーランスは仕事を獲得している
- フリーランスの多くは仕事の自由度と自己実現に満足している
- フリーランスは収入の安定面で課題を感じている
- 税金面や案件に携われない期間を考えると、想像以上に多くの収入が必要である
- 独立前には人脈や発注先の確保などの準備をしておくことが望ましい
準備が必要とはお書きしましたが、諸々の理由で今すぐにでも会社を辞めてフリーランスとして独立したいという方もいるでしょう。そうした方の中には、人脈の確保が難しいという方もいるはず。
上記の資料の中で案件の受注経路にエージェントサービスが挙げられているように、当記事を掲載しているWithConsulでも、フリーランスのコンサルタント向けのエージェントサービスを行っております。ぜひお気軽にご相談ください。